齢70になるじいさんは奥さんにも先立たれ、天涯孤独の人生を送っている。
このじいさんに転機が訪れたのは65歳の時だった。
20年以上買い続けている宝くじで2億円を引き当ててしまったのだ。
2億円も転がり込んでくれば、余生はおカネの心配はいらないのだが、悪銭身に付かずを絵にかいたようなおカネの使い方をしている。
例えば、昔の同級生(女)の現在の姿を写真に撮ってきて欲しいと興信所に依頼した。
お願いした数は6人で、このうち2人の現在の姿を写真に収めることができた。費用は500万円也。
送られてきた写真を見て、年相応のババアになっている姿にがっかりした、という。品のある年の取り方でもなかった。当たり前だろう。時間は止まってくれない。女性高生がいつまでも女子高生であるわけがない。
こんなことに500万円もつぎ込む、じいさんが一番おカネを落としたのが、ギャンブルだった。
競馬などの公営ギャンブルに飽き足らず、海外のカジノへも足を運んだ。ラスベガスがお気に入りで1カ月滞在することもあった。
ギャンブルをガンガンやってガンガン負けた。
競馬の3連単で4500万円も稼いだことがある一方で、1日で3500万円も負けたこともあった。
ギャンブル以外では「買う」にも走った。しかし、勃起しないので楽しくない。赤ひげ薬局へ行って色々な薬にも頼った。
立たなくても女遊びは止められなかった、エイズに罹ってしまった。
で、5年間で使ったおカネは1億8000万円。
残金2000万円。
このおカネがなくなれば生活保護を受けるつもりでいる。