世界的金融危機を打開するためにG7で行動計画を発表しながら、世界の株価の記録的乱高下が止まらない。
公的資金の投入目的は銀行を立ち直らせることで、病気に例えれば、不良債権の買取は患部を取り除く外科手術で、資本増強は、病人の体力を回復させることである。
銀行が元気になれば企業に融資を再開するので経済が回復する、ということなのだが、株価の乱高下が止まらない。
乱高下しながら下がる傾向にある。
行動計画発表後の1週間の各国の状況はこんな具合だった。
17日のニューヨーク株式市場は127ドル安で終わった。アメリカの景気回復の一つの指標になる9月の住宅着工件数は前月比で-6.3%。35兆円の公的資金の投入は決まったものの、実質的に経済が回復するのはまだまだ先の話しで即効性はないので、まだまだ株は売られる。
ロンドンは5%上げたがマーケットのムードは暗く、株取引を停滞させている。銀行救済も遅すぎた、と批判されている。不況ムードを象徴するように高級食材のスーパーから客は遠のき、経済活動は一層停滞する。
問題の上海。
G7の行動計画発表後、他のマーケットでは反発もあったが、中国は蚊帳の外。株価は下げ止まらない。去年10月に比べ株価は70%も下落している。中国にはめでたいオリンピックの開会式の日でも株は下がり続けていた。
世界の工場といわれる中国は、あらゆるものを世界へ輸出している。海外の消費が落ち込めば影響は甚大。そこへもってきて人件費の上昇でコスト高。オリンピックバブルはとっくに終わっている。
90年代のバブル崩壊で金融危機を一足先に経験した日本だが、日本の場合は銀行危機だったので、銀行の資産をちゃんと査定して公的資金を注入すればよかったが、アメリカのサブプライムローンに端を発した金融危機はだいぶ違う。金融工学によって編み出された複雑なマネーマーケットの危機なので一筋縄ではいかない。
そんなことも株価が乱高下を続ける背景にある。
麻生首相は「内需主導型経済」を主張するが、内需を拡大するには外貨を稼ぎ出さないことには、国内の金を回すだけに終わってしまう。
そのためにはトヨタが満を持して発売するiQ。軽自動車よりも全長が短いながら大人3人と子供1人が乗れる超小型車。ウリはリッター23キロの低燃費。
ただ、23キロはそんなに驚く数字ではない。マツダのデミオもリッター23キロを謳っているし、デミオなら大人4人が楽に乗れるサイズだ。
iQのサイズならリッター30キロぐらいを謳って欲しかった。
当初は国内とヨーロッパでの販売を予定していたが、アメリカでの発売もあるようだが、トヨタのiQが起爆剤にならないといけないが、カローラに変わる世界戦略車になるとも思えない。
海外の観光客を増やすにしても、景気に左右されやすい。大阪の繁華街にあふれていた韓国、中国人の観光客もこのところ減少している、という。
将来の不安を増殖させる材料しかない。
この時期に会社は絶対辞めないことがサラリーマンの自衛策だというが、その頼みの会社が倒れていくのだからどうしようもない。
やはり、世界恐慌しか見えてこない。
人気ランキング