アメリカ下院は金融機関の不良債権を政府が買い取る法案を否決した。金融を安定化させるためには74兆円もの公的資金が必要らしい。日本の国家予算に匹敵するぐらいの莫大な金額だ。
否決した理由が議員の私利私欲。11月には下院の選挙があるために反対票を投じた議員も少なくないようだ。マネーゲームで大儲けしておきながら、大損したら助けてでは国民の理解が得られない、ということ。
ブッシュも任期満了間際に9.11の同時多発テロ以上にアメリカの危機に直面しているが、内心は気楽なものだ。後は次期大統領任せればいいわけだから。そういう意味ではオバマにしろ、マケインにしろ大変な時に大統領になる。
それだけに見事に立て直したら歴史に名を残す大統領になれるが、「こんなはずじゃなかった」と2人のぼやきが聞こえてきそうだ。
今回のアメリカ発の金融危機は日本のバブル崩壊と違ってアメリカの崩壊は全世界に悪影響を及ぼすからたちが悪い。アメリカ国民だけではなく、日本国民にもアメリカのマネーゲームの敗戦処理のつけが回ってくる。
ドルが売られれば、ドル安、円高に拍車がかかり、日本の経済をけん引してきたトヨタなどの輸出型産業はアメリカの消費減退とともに、ダブルパンチでまともに影響を喰らう。
加えて株安。企業の株価は下がり、資金調達が困難になる。年金なども株などで運用しているようだが、運用益も出なくなる。
業績が下がればリストラや賃金カットで日本国内の消費はますます停滞から減速する。
国内の景気はそれでなくても悪いのに、企業の倒産件数も加速する。誰もが倒産という危機に直面する"チャンス"が巡ってきた。
街中には失業者ばかりがあふれかえる。
それでなくても借金大国の日本そのものが破綻してしまう。
これがアメリカ発の世界恐慌の最悪のパターンだ。
その可能性は15~30%らしいが、下院は最終的には公的資金の投入に賛成することになるのだろう。
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