北京オリンピック行き最後の1枚の切符が名古屋国際女子マラソン。
国民の大注目を浴びながら序盤の9キロ地点で早々と脱落してしまった高橋尚子。
それでも途中棄権することなく最後まで走りきり、2時間44分18秒のタイム。27位でゴールする。
その原因が何だったのか大いに気になるところだが、レース後の記者会見で去年8月、右ひざの半月盤の手術をしていたことを明らかにした。
異変は5キロ地点の給水所で起こった。
スペシャルドリンクを取り損ねた高橋尚子は、その代わりに取った紙コップの水を一口含むと残りは右ひざあたりにかけていた。
これが調子が悪いというシグナルだった。
会見の冒頭、高橋尚子は明るくこう話し始めた。
「やっちゃいました。これが夏からの実力です」
その後去年8月に右ひざ半月盤の手術をしたことを明らかにした。
走り始めてすぐに体が動かないことに気づき「おかしいな」と思いながら走っていた。
レースまで残された期間は7カ月。メスを入れるべきかどうかは大いに迷った。手術をして100%力を出し切れるかどうか不安だった。
しかし、残された期間は短いが手術を選ぶ。
術後はベッド生活から始まり、松葉杖、歩くことからのスタートだ。70キロ走の練習ができるようになったのは今年に入ってから。
長い距離が走れない、スピード練習もままならない。
それが冒頭の「夏からの実力」ということになる。
「諦めなければ夢はかなう」
これを8月からくじけそうになる自分に何千回と自分自身に言い聞かせてきた。マラソンレースに出られるコンディションの中で臨んだ名古屋だった。
今日の結果を見れば、周囲は引退するのかと思うが、本人は引退をキッパリと否定した。
チームQのスポンサーでもあるファイテンの社長に「もう少し走らせてください」とお願いした、という。
記者から4年後のロンドンを目指すのかと質問されるとそれはやんわりと否定した。
「4年後はまだ考えられない。1個1個の目標をクリアしてその先にあるもの。次の目標は決まっている」
高橋尚子の心の支えになっているのが39歳の弘山だ。彼女ががんばっている姿を目の当たりにすると、マラソン選手をまだ諦められないようだ。
万全な体調で臨めなかったことは、日々の自己管理の問題。
ファイテンのイメージダウンにつながった今回の高橋尚子の走り。それでもファイテンはスポンサー契約を結ぶだけの太っ腹ぶりがあるかどうかだが。
その昔、ダイハツに小鴨由水というシンデレラガールがいた。92年、初マラソンの大阪女子で優勝してその年のバルセロナオリンピックに出場する。
ところが体調不良のまま強硬出場。2:58:18の29位に終わり、完走するだけで精一杯だった。その後すぐにダイハツを退社するが、その原因が本人の自己管理にあった。
禁止されている夜のおやつが止められず、見つかっては監督に怒られていた、という。結局、仕事で走ることよりも食べる喜びを取った。
すぐに太ってしまう体質だったようだ。間食さえ絶てたら一流ランナーになれる素材だった。
高橋尚子も自己管理で、けがをしない練習が求められる。
けがをして、ファイテンを身に着けても短期で元通りになれないことも実証された。
骨折したときに驚異的な回復力で一躍有名になったベッカムが使った酸素カプセル療法はやっていたのだろうか?
疲労回復はファイテンの首輪より酸素カプセルだろう。
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