Aさん(62)は街中で見知らぬ人から良く声を掛けられるタイプだ。人相が恵比寿顔なので声を掛けやすいのかも知れない。
そんなAさんが声を掛けられたのはJR立川駅の南口の繁華街だった。
「お兄さん、食べるおカネがないの…」と声を掛けてきたのは80代ぐらいの老婆だった。
可哀そうに思ったAさんは近くの日高屋に連れて行って「1000円分食べてもいいよ」と奢ることにした。
お腹が空いていたのは本当で80代とは思えないぐらいの旺盛な食欲でガツガツと料理を平らげていった。
「本当にありがとうございました」と礼を言うと、次に出た言葉が「5000円でどう?」だった。
いうまでもないことだが、私の体を5000円で買って下さい、という意味だった。
身なりは小ざっぱりとしている。どうして、そんな状況に陥ったのか聞いた。
「年金をパチンコに全部使ってしまって…」
年金は2月に支給されている。
今は3月9日。
次の支給日は4月15日。
1カ月以上も無一文では生活できない。
関心を誘うためと思われて、問い詰めると「生活保護を受けている」と白状した。
パチンコでㇲってしまったというのも、どこまで本当かどうかも分からない。
これ以上関わり合いたくないと思い、スマホケースに挟んでいた3000円を取り出して、「今はこれしかないから」と言って渡して別れた。