あるホールでの出来事。
常連客が朝一番で来店した。
ところが、入店後に財布を落としたことに気づいた。
すぐに、店長に連絡して、落とし物の届けがないかを聞いた。
しかし、届いてはいなかった。
財布の中には10万円以上入っていた。
店長は後で監視カメラを確認した。
そこに映し出されたのは従業員が、財布を拾い、ポケットにしまった様子だった。
従業員が拾って、店長にも落とし物の財布があったことを報告していない、ということはネコババしていることになる。
このことは当該従業員にも落としたお客にも正直に言うことが憚られた。
理由は、ネコババした従業員に店長は弱味を握られているからだ。
その弱味とは、店長が設定漏洩していることだった。
従って、店長はその従業員に財布のネコババのことを指摘すると、返り血を浴びることが想像できた。
困った店長は第三者に相談した。
それは店長が返り血を浴びることがない提案だった。
お客にホールで財布を落としたことを警察に届けてもらい、警察が捜査する中で、監視カメラを確認すれば犯人がすぐに特定できる。
警察が犯人を見つけることで、店長の身は保証される、という筋書きだ。
人間、弱味を持たれたら正しいこともできない、というケーススタディーだった。