年末、西日本のホールで店の金庫に保管していた2000万円が消える事件が起こった。
犯人は内部犯行で副店長の仕業であることはすぐに分かった。金庫管理の責任者であると共に、出社することなく無断欠勤したからだ。
普通ならここでホールは警察に被害届を出すのが当然なのだが、オーナーはストップを掛け、副店長を捕獲することを選んだ。
副店長の実家は関東。
オーナーは実家に立ち寄ると読んだ。
大晦日。
新幹線のぞみは、全車指定で、ひかりをチョイスして、口の堅い社員を向かわせた。さらに、懇意にしているメーカーにも協力を依頼し、実家を張り込んだ。
この警察に被害届を出せないということは、副店長はオーナーの弱味を握っていると推察出来た。
例えば遊技機の不正とか、脱税とか。
オーナーの読みは当たった。
年が明けた2日、とうとう実家に姿を見せた。
メーカー関係者が副店長の身柄を確保する。
持ち逃げした2000万円も持っていた。
オーナーに無事確保を報告する。
オーナーは「2000万円返せば、警察にも被害届を出さない」と温情を見せた。
ところが、副店長の腹は座っていた。
「おカネは返すが、全部ばらす」と反撃した。
やはり副店長はオーナーの弱味を握っていた。
実際、皆の前でぶちまけてしまった。
オーナーの弱味が副店長から赤裸々に語られた。
なんと、オーナーは女子社員に手を出し、妊娠させていたのだ。
それだけではなかった。
女子社員はその件で退職するのだが、オーナーはその女性に対して、在籍もしていないの給料を払い続けていた。
孕ませた子供は今や11歳。11年間不正経理で生活費や養育費を処理しているのであった。
秘密をばらされて、慌てたのはオーナーだった。
形勢が一気に逆転する。
オーナーの負けだった。
2000万円は返さなくてもいいが、この件は一切口外しないという条件で手を打つことになった。
しかし、口約束ではダメなので、弁護士を交えて一筆書くことになった。
正月でもすぐに動いてくれる弁護士をネットで探して、弁護士立会いの下に証文を書いた。
ちなみに、弁護士費用は50万円だった。