都内のホールオーナーは、未だにコーヒーのワゴン販売を続けていた。
90年代、パチンコ業界が繁盛していた時代に生まれたこのサービスは、遊技人口の減少に比例して姿を消していったビジネスの一つだった。
しかし、客数の減少には抗えず、自社でやっていたワゴンサービスを中止せざるを得ない状況に。そりゃ、そうだろう。コーヒーは売れず、コーヒーレディーに支払う人件費分が赤字になっていったからだ。
かといって、ワゴンサービスを中止するとイメージがよくない。外注に出したが、外注先は1年で音を上げて撤退した。
再び、自社でワゴンサービスを始めるのだが、なぜ、オーナーが拘っていたかを、オーナーの奥さんは女の直感で分かった。
ワゴンの責任者は水商売のホステスで、オーナーの愛人だった。
奥さんは興信所を使ってホステスの身元を洗った。
年齢は37歳。睨んだ通りオーナーの愛人だった。
興信所の証拠を突き付け、ホステスをクビにするか離婚するかを迫った。
オーナーは前者を選択した。
ただ、知り合いの飲食店に移籍してもらったが、これまで貰っていた給料の差額はオーナーのポケットマネーで支払っていた。関係は続いていた。
奥さんはそこまで突き止めて、離婚調停が始まった、とさ。
オーナーは、この時の経験が「邪魔な女を殺したい」と殺意を抱いた、という。
このことがきっかけで自伝小説を書き始めた。
パチンコ業界の裏の裏側から、今回の三角関係などが含まれている。
途中まで小説を読まされたメーカーの営業マンは、文章は素人だが、「内容は面白い」と太鼓判を押した。
原作をネットフリックスに売り込んで、映画化してもらった方がいいとアドバイスした。