ある中年家族の下に娘が20歳の息子を連れて帰ってきたのは、2カ月前だった。離婚だった。
娘は高校教師とのデキ婚だった。
昔から体罰が当たり前の教師だったのだが、学校ではできなくなり、そのうっぷんは家族に向けられ、DV被害から逃れるための離婚だった。
夫婦だけの倦怠生活に活気が戻ったのも確かだった。
家主はある日、いつものように4時半に起きると、急に甲府へ行くことを思い立った。東京の西の方に住んでいるので、甲府は割と近い。
家族を叩き起こして甲府へドライブに出かけた。
甲府と言えば、名物はほうとうだ。
昼食に立ち寄った店はほうとうでは有名な店だった。
ところが昼食時間が遅かったこともあってか、麺が平べったくなく、普通のうどんだった。
「麺を切らしてしまったので、近くのスーパーでうどんを買ってきた」と店員は理由を説明した。
「これではほうとうではない」と文句を言ったら半額になったとさ。