アラ還のホール店長が健康診断を受けた。その時血液検査をしたのは10年ぶりだった。異常な数値が出た。精密検査した。肝臓がんで肝機能も相当低下していたが、本人にあまり自覚はなかった。
医者から告げられたのは余命1年余り。
仕事は辞めて治療に専念しなければならないのだが、すぐには辞めることができなかった。
早くて2~3カ月。長ければ半年後でなければホールを退職できない事情を抱えていた。
アラ還店長は会社から本部長昇進の打診を受けても「現場が好きですから」と断り続けていた。
現場は“稼げる”から、それを手放したくなかった。
アラ還店長は不正に手を染め蓄財に余念がなかった。
設定漏洩などという古典的な手法ではなかった。
もっと大がかりだった。
それは裏モノを仕込んだ機械で稼ぐ方法だった。
不正機は現在も稼働中で、それを入れ替えて証拠を消さないことには退職することができないのであった。
長ければ半年かかるとは、不正機を撤去するだけでなく、不正機で稼いでいる反社との関係を断ち切るためにそれぐらい時間が必要なのかも知れない。
悪銭身に付かず。
貯め込んだおカネを持ってあの世へは行けない。