銀河高原ビールを初めて飲んだのは今から6年前のことだった。パチンコメーカーの専務と一緒に行った居酒屋で「これ旨いで」と勧められて飲んだのが、コバルトブールーの瓶に入った銀河高原ビールだった。ビールとは思えないフルーティーな味に、グラスがすぐに空になった。
一緒に行ったのは4人。われわれ以外に客はいなかった。銀河高原ビールを飲むのは専務以外皆初めて。不思議な味の虜になり、空瓶がカウンターに並んでいく。1時間ほどで店の在庫を飲みつくしてしまった。
「大将、酒屋に電話してすぐに持ってこさせて」
その後、2ケース配達してもらって銀河高原ビールを飲み続けた。
月日は流れ、銀河高原ビールが再び目の前に現われたのは去年の2月のことだった。
「パルサービールを作ったので新製品コーナーで紹介して欲しい」と銀河高原ビール販売の営業マンから電話が入る。
その販社は岡山にあり、山佐のお膝元ということで企画が上ったようだった。その後、パチンコ業界で最も人気のある新海物語のマリンちゃんにパッケージを変え、第二弾を発売した。
サンプルでもらった缶ビールの中身は白ビールで、あのフルーティーな味ではなかった。
東日本ハウスが子会社である銀河高原ビールの事業を精算する、と発表した。
事情を聞こうとその営業マンに電話を入れた。会社はなくなっており、ケータイも繋がらない。
ビール業界は熾烈な戦いが続いている。大手メーカーでもビールの売り上げはジリ貧で、発泡酒やさらに税制の安い第三のビールが主流となり、全体の売上高は落ちている。国民の嗜好が低価格重視に移行する中、いくら味に個性があるといってもビールだけの銀河高原ビールでは苦しい。量が少なく値段が高いのでプライベートで買うことは1度もなかった。
去年9月期決算の売上高は58億5000万円に対して累損は107億円だった。
清算後は東日本沢内総合開発(岩手県沢内村)が「銀河高原ビール」のブランドを継承、事業規模を縮小して生産を続ける。本来の地ビールに戻ることになる。
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