50台半ばの中年独身男性の悲哀を感じる話である。
大晦日の夕方6時、よく行く日高屋へ晩飯を食べに行った。普段ならこの時間帯は満席なのに、この日は1割程度しか客はいない。
大晦日に日高屋へ来ること自体が中年独身の悲哀を物語っている。
東京の飲食店では外国人の店員が珍しくないが、この日高屋も例外ではなかった。
注文を取りに来たのは中東系の顔をしていた。
「野菜炒め定食とごはん大盛で」
店員は、注文を復唱したが、何を言っているのか聞き取れなかったが、「うん」とうなずいた。
暫くして出てきたのは野菜タンメンの大盛とご飯の大盛だった。
「これ、私のじゃない」と突き返した。
一旦引き下がったが、再び同じものを持ってきた。
「野菜いため」が、中東人には「野菜タンメン」に聞こえたものと思われた。
捨てて作り直すのももったいないので、間違いを食べることにした。
麺大盛でごはんも大盛。
お腹いっぱいになったところで、今度は注文した野菜炒め定食のごはん大盛が出てきた。
突き返すのも悪いので全部食べることにした。
腹八分目ならぬ腹二十目だ。
腹がパンパンになったところで、自宅に帰った。
満腹状態で睡魔に襲われ、目が覚めたら紅白が終わっていた。
平成最後の紅白は過去最高の出来だった。特にサザンの桑田とユーミンのエロい絡みを観ることもできなかった中年独身男性の悲哀がそこにある。