都内で外国人が道に迷っていた。
英語が不得意な中年男性は聞かれても困るので目を合わせないようにしていた。
そういう時に限って聞かれるものだ。
「アイムソーリー」と立ち去ったが、その後で小学生高学年の男の子が会話しているのが目に入った。
少年のことが気になり、何を話していたのかを聞いてみた。
「エスペラント語で話していたよ」
「エスペラント語?」
世界共通語のような認識はあった。
「おじいちゃんがエスペラント協会の研究者なんで話せるんだ」
エスペラント語を改めて調べてみると、これは人工言語で自然言語との類縁もないとされている。
一体、世界で何人ぐらいがエスペラント語を話せるのかは分からない。少年はエスペラント語を喋れても、それが相手に通じたのかも定かではない。