まだ、毒を盛られたことはないが、まさに毒を盛られた時の感覚だった。毒を盛られたことがないのに、その感覚だった、というのも変だが、そうだろう。
蛇口焼酎の水割り3杯目を飲んでいる時だった。
急に手先が痺れる感覚が襲ってきた。
さらに、周りの風景の焦点が合わず、モノがはっきり見えなくなってきた。時間にして数分。記憶はそこまで。
そのまま床に倒れこみ、リバース。
一緒にいた人によると5分ほど倒れていたそうだ。
気が付くと、服は汚物だらけ。
トイレに鏡に映った顔は、まさに顔面蒼白。完全に血の気が失せていた。
これが脳梗塞なのか、毒を盛られたのか。
脳梗塞は激しい頭痛があるというが、それはなかった。呂律が回らない、ということもなかった、と脳梗塞を否定したくなる。
隣の席にいた20代の若者らとパチンコ、スロット談議に花を咲かせている最中の出来事だった。
その若者曰く「ここの蛇口焼酎は飲んではいけない、という噂があったけど、やはり本当だった」と衝撃発言。
そういえば、誰一人として蛇口焼酎を飲んでいない。
やはり、原因は蛇口焼酎ということにしておこう。