深夜3時半。その人は改装中のスーパーの前を自転車で走っていた。
なぜ、そんな時間に?
駅前の駐輪場に止めていた自転車を取りに行っての帰りだった。
その時だった。排気ダクトからシンナーの強烈な臭いが流れ出していた。それをもろに吸ってしまい、急に気分が悪くなった。
その内、猛烈な吐き気に襲われ、何度も吐くほどだった。
深夜帯とはいえ毒ガスのような排気は危険である。そして、そのまま交番へ駆け込んだ。事情を説明して、警察官と2人で現場に向かい、強烈なシンナー臭を確認した。
警備室へ2人で向い、警備員にも確認させたが「仕方ないんですよね」。
自宅に帰ろうとしたとき、咳が止まらず、頭痛もしてきた。
病院へ行きたいほどで、近所の消防署へ駆け込んだ。
深夜なのでシャッターが締まり、インターホン対応だった。
押しても、誰も応答しない。
何度押しても反応がない。
それで119番に電話して、事情を説明した。
119番からその消防署へ連絡してもらった。
再びインターホンを押すとようやく応答があった。
「なんすか?」
「今電話連絡してもらった者です」
「え?」
「具合が悪いんだよ」
ようやく、署内へ入って事情を説明して、横になった。
スーパーにおけるシンナーの異臭の館内放送が流れ、5~6人が出動して、サイレンを鳴らして消防車がそのスーパーへ向かった。