「これはどう考えても認知症でしょう」と一本の電話が入った。
場所はセルフのガソリンスタンドで、もみじマークをつけた車のおじいちゃんからこんな質問を受けた。
「ちょっと、お兄さん、ハイオク、ガソリン、軽油とあるけど、この車は何を入れたらいいのかね」
「?」
年恰好は80歳を過ぎている。長年車には乗り慣れているだろうに。自分の車に何を入れたらいいか分からない、とは認知症と疑っても間違いない。
ちなみに、おじいちゃんが乗っている車はマーチ。ハイオクとか軽油とか迷うような車種でもない。
「いつも有人のスタンドで入れてもらってるので」と言い訳をするが、長年車に乗っていて、しかも自分の車で何を入れていいのか、というのは普通考えられない。
危険だ。
高齢者の免許更新では、自分が乗っている車に何を入れるか、テスト項目を新たに加えなければいけない。