韓国人の20代の青年がホールを訪れた。
お客ではない。従業員は韓国語で何をいっているのかさっぱり分からないので、韓国語が話せるオーナーのケータイに電話を入れて、話を替わった。
それで分かったことは青年は往復のチケットだけで、ほぼおカネがない状態で日本一周を目指している。
パチンコ店は在日韓国人経営者が多いので、働かせて欲しい、ということだった。ホールで働きながら小金を稼ぎ、日本一周をしようという魂胆だった。
観光ビザで働くことはできない。
1軒目に訪ねたのが当該ホールだったこともあって電話口でオーナーは「そんなことも知らずに日本に来たのか! 祖国の恥さらしだ」と青年を叱りつけた。
それにひるむこともなく青年は「働かせて欲しい」と懇願した。
働かせることはできないが、韓国人のシンパシーから「関西観光なら付き合わせる」と20代の社員を同行させ、2泊3日で京都や奈良を巡った。ホテル代から食事代はオーナーが持った。
別れ際だった。
社員はおカネを持っていないといっていた青年の財布の中身を偶然にも見てしまった。
財布の中にはおカネはあった。
すぐにそのことをオーナーに報告。電話口でオーナーはまたもや叱った。
「お前は乞食か。韓国人のイメージがどんどん悪くなる。女だったら売春でもする気か!」
オチはない話だ。