Cさんの駐車場は自宅からちょっと距離があるため、自転車を使うことが多い。自分の車の前に自転車を止め車の中でウトウトしていた。
目が覚めたのが午後11時45分ごろだった。そのままスマホを弄っていた。
すると、前方の自転車の方からガサゴソとビニール袋を触っている音がする。自転車の後ろかごにビニール袋を入れていたのだが、その袋はゴミを入れていた。その中に惣菜のパック容器なども入っていたため、その音がしたのだ。
物音に気づいて前方を注視した。
薄暗い中、20代後半から30代の女性がビニール袋を開けて、中を物色していたのだ。
中にはゴミしか入っていないことを確認すると歩き出した。
自分の荷物を物色されたCさんは車を降りて、その女に「何でしょうか?」と声をかけた。
女は「袋の中に何があったのか見たかったから」と平然と答えた。
実はCさん、今回はゴミしか入っていなかったが、2~3カ月前、スーパーで買った食料品を後ろかごに入れたまま駐車場に自転車を止めていて、中の食い物を盗まれたことがあった。
かごには防犯用のネットをかけていたが、それを開けた形跡があったので、物色されたことに気づいた。
ちょっと前にそんなことがあったので、今回は物色する女を現行犯で確認したので110番した。
「急ぎじゃないんですが、かごの荷物を弄られ、声を掛けたが驚きもしないんですよ」と事情説明すると、やがて所轄の警察官が現場に来た。
「女性なら普通は人のものを触ったりはしませんよね」
女は駐車場の敷地内にあるアパートの中に悠然と消えた。そのアパートは5世帯。犯人はすぐに特定できるがモノを盗んだわけではない。
都会には不審者が一杯だ。