スーパーの食品売り場のレジは、イライラする場所の一つだ。
誰もが一番空いている列や一番スムーズに進みそうな列を探しながら並ぶ。自分が選んだ列より違う列の方が早く進んだ時の悔しさほど悔しいものはない。
そんなイライラするスーパーの列で事件は起こった。
そのスーパーにはレジにタバコを置いていた。ただ、スペースの関係で全ての種類を置いているわけではない。列ごとに置いているタバコの種類が違っていた。
40代のサラリーマンがレジでタバコを注文した。その銘柄はその列にはなく、他の列にあった。
注文を受けたレジ係りはその場を離れ、その銘柄があるレジまで取りに行った。この間レジ作業は中断してしまった。
それを見ていたすぐ後ろのおやじの感情線がピ~んと切れた。
「おい、兄ちゃん! なんでそのタバコがある列に並ばないんだ」
聞こえるぐらいの大きな声で言っているのに、背中はピクリとも動かない。
「てめえ、この野郎聞いてんのか!」
それでも、サラリーマンは無反応で後ろを振り向こうともしなかった。一触即発状況の中、おやじは、今度は後ろの客に同意を求めてきた。
同意を求められた客もおやじに加勢したことで、やっとサラリーマンが「すいません」と謝った。
それで事なきを得たが、左様にレジはイライラが募る場所で、大量に買い物をしている客の後ろには並びたくない。
自分が吸うタバコがどの列のレジにあるかは、常連客なら分かっているはずで、その列に並ぶのが常識というものだが、そんな常識がない客がスーパーでは急増している。
例えば、子供がお菓子を開けてしまった場合、昔は母親がそれを買ったものだが、今は平気で返品に来る母親が多い、という。
店側は返品を受け入れているようだが、開けたまま売り場に置いて帰る強者もいる。
冷凍食品を普通の売り場に置いて帰るものも。
最近の中高生はペットボトルを冷凍食品の奥に詰め込んで、フードコートで時間をつぶして、キンキンに冷えたところでレジに持って行くなどの裏技も。
非常識な親の背中を見て育った子供は非常識に育っていくのは当然だ。