東北のホールの話。
面接に来たのは身長が160センチを切るぐらいの小柄なイケメンだった。歳は36歳。
面接に来たその男性は、包み隠さず本当のことをいった。
戸籍上は女だった。
でも、小柄なところ以外は髭もたくわえ、どこから見ても男だった。
「ほかに働くところがありません。アルバイトから雇ってもらって、働きぶりを判断して社員にして下さい」と懇願した。
ホールとしては採用してもいい、と考えた。
しかし、風俗営業で従業員の名簿が義務付けられている。見た目は男だが、戸籍上は女の採用に戸惑い、所轄にお伺いを立てた。
従業員名簿の提出を求められた時に、顔写真と性別が違っていたら、突っ込まれることは必至である。
「いや~、何かあったらね…」
事なかれ主義の所轄の担当が判断できるわけもない。
それで採用は断念した。
オカマは今や市民権を得てオカマタレントが毎日のようにテレビに出ているだけでなく、都会にはオカマバーも氾濫している。
男女同権といわれながら、オナベの方は、オカマほど市民権を得ていないの実情だ。オナベとして生きていくために働く場所がオカマほど豊富ではない。ましてや、地方となるとオナベバーの件数もゼロではないが、少ない。
オカマは化粧が緩衝材になっているので、まだ受け入れられるのだろうが、オナベは男になりきろうとするのだから、ビジュアルも綺麗ではない。
オナベがテレビタレントで出てくる時代は、ま、ない。