京北から右京区に抜ける山道を走っている時だった。
トンネルの前で大きな旗を振るながら止められた。最初は工事現場のおっさんかと思ったら警察だった。幹線道路の脇道に警察車両がズラリ。
ネズミ捕りだった。
すでに捕まった大型バイクの兄ちゃんが警察車両に乗り込み、切符を切られる手続きをしていた。
山道だし、そんなに飛ばしてもいなかったのに、止められたことが解せなかった。
警察が無線で何度もやりとりしている。
「PCXですが…」
「…」
何度も掴まえた車種を確認している。
「運転手さん、エンジンをかけてこっちまで来てください」
4台ほどの警察車両が並ぶ先頭まで移動する。
「運転手さん、ここは何キロだかわかりますか?」
「初めて走る道なので分かりません」
「ここは40キロなんですよね」
「60キロぐらいで走っていたと思います」
「じゃ、20キロオーバーですよね。ただし、今回は口頭注意にしておきます」
「?」
「何キロオーバーだったとか、今回はいいませんので、口頭注意だけにしておきます」
内心ラッキー、と小躍りしたが、これ、間違って止めたんじゃないか、という気がしだした。
そんなに飛ばしていないし、普通に流れに従っていた。
「いま、警察車両に乗っている人がいますので、その方が帰ったら、発車してください」
捕まったライダーの目を気にしての配慮だろう。
止めたのに切符を切らないのはなぜ、と捕まったライダーから突っ込まれるのを恐れてのことかもしれない。
いずれにしても、切符を切られずに済んだ。
バイクのダッシュボードには、お守りが入っている。
このお守りのお陰で、あと1点で60日の免停になる1年間を無事故で無違反で凌いだ。
お陰で点数は戻ってきた。
そして、今回も助かった。
お守りのお陰と、信じる者は救われる。