行きつけの床屋は仕事が丁寧なのに、値段は独立開業して以来1500円を押し通している。コストパフォーマンスが高いので、平日にもかかわらずいつも混んでいる。
マスターは消費税増税後も1500円を押し通すと宣言していた。
その心意気が素晴らしい。
ところが、きょう行くと値上げする、といっている。
マスターにどんな心境の変化があったのか?
「散髪だけなら値上げしないでもやっていけると思ったのに、美容商材が上がるので、税理士から1500円ではやっていけませんといわれました」
「商材が上がるのは当然分かっていることじゃないの?」
「そこまで気が付きませんでした」
お客に1500円で散髪を提供したいという一心さが改めて分かる。
「で、いくらに値上げするの?」
「1600円です」
「かわいいじゃない」
「税理士は1700円にした方がいいといったんですが、1600円にしました」
「で、4月からやね」
「いえ、看板を書き換えるのが間に合わないので5月からです」
店内にポスターで告知するだけで客は納得して4月からでも値上げに応じてくれるはずだが、いつまでもお客を第一優先にしてくれる。
だから客足が絶えない。