人は彼のことを汗かき雄介、と呼ぶ。
確かに昨日、一緒に飲んだ時も額に玉の汗をかいていた。冬でも汗だくだくで毎日のように寝汗もかいていて、布団からは汗と加齢臭で異臭が漂う。
汗かき雄介が本領を発揮するのは、夏場だ。
ケータイはいつも胸ポケットに入れいている。
ある夏、ドコモの新機種ケータイを買った時のことだった。
買って3日目で突如電源が落ちた。
すぐにドコモショップに走ったが原因は不明だった。
買ったばかりだったので、すぐに新品と取り換えてもらえた。
ところが、数日するとまたもや電源が落ちた。
同じ機種で故障するので、これは機種自体の初期不良が起こっていると思い、再びドコモショップに駆け込んだ。
そして、こう噛みついた。
「ほかにも同じ症状が起きているはずだ。全国で同じ症状が出ていないか、すぐに調べてくれ」
調べた結果、同じ症状は出ていなかった。
再び、新品と交換してもらった。
二度あることは三度あるとは、まさにこのこと。
数日して、また電源が落ちた。
怒りを通り越して呆れた。
これまで調べても原因が特定できなかったが、三度目でやっと原因がつかめた。
「お客様、この隙間から汗が入っていますね」
汗かき雄介は、夏場ともなると体中汗だらけで、ワイシャツはシャワーを浴びたようにずぶ濡れ状態になる。
胸ポケットには汗だまりができるほどで、胸ポケットでケータイが水没していたのだ。
日本ひろしといえども、胸ポケットでケータイを水没させた人はいないだろう。
それ以来、防水ケータイを持つようになった。
汗かき雄介の右に出るものは果たしているのか?