大吉は3組合同結婚式が始まったときから1人泣いていた。
泣いているというか、困ったというか、後悔というか、そんな表情だ。
太巻が太巻に見えないぐらい鈴鹿ひろ美とすっかり、お似合いのカップルになっている。
昭和50年代から60年代にかけて流行ったデザインのウェディングドレスを身にまとった春子と黒川もそれなりのカップルに仕上がっている。
ああ、それなのに、それなのに。
大吉と安部ちゃんのカップルだけは、見ていて思わず笑ってしまう。
安部ちゃんの文金高島田姿は、片岡鶴太郎かと見間違えたぐらいだ。どう見てもおっさんが女装しているようにしか見えない。
大吉の迫真の演技は、笑いを堪えるために無理やりオーバーに泣いている、としか思えない。
安部ちゃんを文金高島田姿にしたのは、脚本家のクドカンの仕業なのか、それとも演出家の井上剛、吉田照幸、梶原登城らの策略なのかは分からないが、顔の大きさだけが際立った。
ひたすら腰を振っていた前髪くねお以来、何度見ても笑える安部ちゃんの花嫁姿だった。