生産地、生産者からこだわる米屋がある。
「パーソンズ・カントリー」と米屋らしくない店名だが、生産者へのこだわりが店名にもこめられている。
一時期、魚沼産のコシヒカリのニセモノが大量に流通して問題になったことがある。魚沼産が一つのブランドとなり、魚沼産というだけで、普通のコシヒカリより高く売れたために、産地偽装の魚沼産コシヒカリが全国に出回った。
魚沼という一つの地域の田んぼでの生産である。
生産量には当然限りがある。どう考えてもそんなに魚沼産の米が生産できるはずがないことから、バレてしまったように米業界は黒い闇に包まれている部分がある。
「スーパーで流通している米は混ぜものが多く、100%一つの田んぼで取れた米が流通することはない。うちが扱う米は現地まで足を運び、生産者の顔を見て、作った米を食べて、美味しい米を作っている農家と契約した米だけを扱っているので、混ぜものが一切ない」と話すのは同店の笠井聖弘代表。
米業界の闇の部分にメスを入れるので、米業界では異端児ともいわれている。
店で売れれているのは玄米の状態。
「玄米は生きています」というのが理由で、20段階で分つきする精米機でお客さんの好みで精米する。
「胚芽の部分が甘み。削りすぎてはいけない」
自分がスーパーで買っている無洗米は、胚芽が一番削られた状態。本来なら買ってはいけない米のようだ。
現地に足を運ぶうちに、野菜農家も紹介されるようになり、変わった野菜も扱うようになる。現在契約農家は400軒ほど。それがパーソンズ・カントリーの由来でもある。
美味しい米を作る農家は、基本に忠実で、米作りが好きで、研究熱心で、師匠がいるなどの共通点がある。
ただ、お客さんの半数以上が美味しいといわない米は、次年度の契約は行わない。それは、互いに技術を競いあって、技術を磨いて欲しい、という願いが込められている。
「スーパーの米を作っている人は適当に作っている。こんなことをいうから業界から嫌われる」
米に生産者からこだわる米屋が販売しているのが、このおにぎりだ。
ご飯は炊き立ての熱々を食べる時と、おにぎりのように冷めてから食べる時がある。
「おにぎりにして食べたときの食感を出すために、季節や天気によって米を変えています」
ここまで話を聞いたら、食べずにはいれない。
コンビニのおにぎりしか食べる機会がないが、米を厳選しているだけに、冷めても米の美味しさが伝わってくる。実に食感が非常にいい。
これで100円はお値打ちだ。
「良い物は良い人が作り、良い商品は良い店にしかない」をモットーにするパーソンズ・カントリー。スーパーより値段は高いが、本物を知っている客に支えられている。