去年の10月ごろからナンバや梅田で黄緑色のジャンパーを着た怪しい募金集団のことが気になっていたが、TBS系の毎日放送が報道特集で追跡取材して実態を暴いてくれた。
ピンときたのは彼女らの雰囲気。いまどきの濃い化粧に、ピアス。ボランティアの雰囲気はゼロ。呼びかける声は、やる気のない棒読み原稿そのものだが、声は出している。
NPO法人「緊急支援グループ」を名乗る団体は、やはり詐欺集団だった。
最初に気づいた時、義援金のお題目は「イラクの子供」の支援だったが、いつの間にか「難病の子供を救う」募金に代わっていたのも気になっていた。
カメラは募金活動の若者たちの姿から追っていった。1日の募金活動を終えると集合場所が天王寺駅。ここに2~30箱の募金箱が集められ、黒いスーツの男から若者に現金を手渡す姿がとらえられた。
彼らはボランティアではなく、アルバイトである証拠がつかめた瞬間でもあった。
彼らは求人情報誌などで集められていた。募集するときの職種はケーキの試食販売。面接の電話を入れると場所が四ツ橋駅の32番出口を上がった路上。
ケーキはなくなったが、募金スタッフならある、とここで初めて本来の目的を告げる。時給は1000円。
路上でマニュアルを読まされる。そこには「常に大きな声を出す。頑張っている判断になる」「連絡先を聞かれたら上のものから連絡させる」などが書かれているが、読んだらその場で回収していた。
多い子は一日に8~9万を集めるやり手も。全体では一日に70~90万を集めていたものと見られる。
元アルバイトの証言で最初はイラクの子供の支援を掲げていたが、集まりが悪いので、同情が買えるように国内の難病の子供に募金目的を変えたそうだ。
取材過程で、1度だけこのグループから募金先といわれる難病の子供を救う会に51万円の振込みがあった事実は確認されている。
首謀者とみられる男にも突撃インタビューを試みるが逃げられる。
男は大クワガタの投資ビジネスなど4件の民事訴訟で訴えられている。
毎日放送が取材に動いたため、緑のジャンパー集団は消えたが、募金先をスマトラ沖地震、服装は私服にスタイルを変えて再びこのグループと思われる集団が募金詐欺を行っている。
どこまで阿漕な男なんだ。この男、募金した人間から詐欺罪の告訴なんて面倒くさくてできっこない、つまり詐欺罪で立件できないと読んでいる節がある。
それより、金のためならそういう怪しいバイトでも応じる若者がいることも嘆かわしい。
「怪しい」、「この募金が自分達の給料になる」と詐欺を認識している発言もある。もし、詐欺罪で告訴されたら、彼らは幇助の罪に問われることになるのか?