ケータイに1本のメールが届いたのは4月11日の16:37分だった。
新幹線の中からで、反対ホーム止まっている500系こだまが爆発して鉄板が飛んだ、という内容だった。
取材中のメールだったので咄嗟に意味が分からず、すぐに折り返し電話した。
メールをしてきた人は新大阪行きのこだまの1号車に乗っていて、三原駅で停車していたところ、反対ホームに止まっていた博多行きの500系から爆発音がしたため、その方向に目をやると煙が出ていた。
これは大事故とばかりにすぐに写メを撮った。
2号車のドアの下部にボッカリ穴が開いている。
爆発音がしたにも関わらず、500系こだま何事もなかったかのように、三原駅に爆発物の残骸を残して、発車してしまった。
こんな大事件なのに乗り合わせた1号車にはその人以外、乗客はいなかった。目撃者はその人だけだった。
岡山駅で下車した。駅の案内で下り新幹線で遅れが出ているアナウンスがあった。やはり先ほど目撃したことが原因に違いないと思って、三原駅で目撃したことを駅員に伝えたが、たいして取り合おうともしない。
姫路行きのひかりに乗り換えて再び車掌に伝えたが相手にされなかった。
当日の新幹線の運行状況では19:41現在で次のように発表されている。
三原駅付近で線路内に支障物が発見されたこと、また、東広島駅で車両トラブルが発生していたため、博多方面行きの列車に20~120分程度、新大阪方面行きの一部列車に10~30分程度の遅れがでています。
やはり三原駅を発車したのちに異常を感じ東広島駅で運行を取り止めてことがのちに分かるのだが、11日の時点ではこれが最終報告である。
爆発を目撃して証拠写真まで押さえている目撃者とすれば、その後JR西日本から正式なアナウンスがないために、怒りがふつふつと沸いて来た。
爆発という重大事故を隠蔽してしまう気かと思い、JR西日本にことの次第を電話した。その後発表されたリリースがこれだ。
1 発生日
平成24年4月11日(水曜日)
2 発生場所
山陽新幹線 三原~東広島駅間
3 列車
こだま745号 500系8両編成
岡山(14時59分)発 博多(18時18分)行
乗客数:約200名
4 概況
当該列車は、車両に異常が認められたため、東広島駅に停車し車両点検を行いました。調査したところ、三原駅の線路間に当該列車の車両部品13点(集めると1個の部品:2号車に搭載したバッテリーを覆っている外フサギ板)が落下していることが判明しました。
当該列車につきましては、回送列車として東広島駅を午後6時14分に出発しました。
その後、詳しく調査したところ、以下の異常が認められました。
・2号車蓄電池箱蓋落下(三原駅にて回収)
※注釈 サイズ:高さ77センチメートル、幅85センチメートル、厚さ10センチメートル、14.7キログラム
・2号車蓄電池箱変形
・2号車補助電源装置コンデンサに焦損有り
※注釈 2号車以外の車両については異常が認められませんでした。
※注釈 落下した蓄電池箱蓋の詳細についてはこちらをご覧ください。(PDF形式 51キロバイト)
5 原因(推定)
蓄電池に電源を供給する補助電源装置の出力電圧検出ユニットの不良により、補助電源装置が本来より高い電圧を出力したことで、蓄電池から気体が発生するとともに、補助電源装置の出力電流が増大したことでブレーカーがしゃ断し、その火花により発生気体が反応し、蓄電池箱が破裂し蓋が落下しました。
また、車内で異臭が発生したとの申告がありましたが、これは補助電源装置のコンデンサに焦損が認められたことから、焦損により発生した気体を、換気装置を経由して車内に吸引したためと推定されます。
※注釈 蓄電池箱蓋落下の原因(推定)および関係機器の取り付け箇所についてはこちらをご覧ください。(PDF形式 187キロバイト)
6 対策
同種設備の列車を走らせる前に、蓄電池に過大な電圧が供給されていないことを確認します。また、詳細な原因調査を実施し、さらなる対策を検討します。
7 その他
今回の事象での関係社員の対応について検証のうえ、必要な改善を検討してまいります。
目撃者が電話をしていなかったら、この発表はあったのか、なかったのか、さぁどっち。
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