近所にすし屋を手作りで改造したショットバーがある。
最近足を運ぶようになった。
昨日も日付が変わるころ、バイトから帰ってきたばかりの息子を誘って行った。
この店はカウンターに8人も座れば満席になる小さな店なので、隣の客同士すぐに仲良くなれる。
ジョジョの奇妙な冒険でマスターと話が盛り上がっている客がいた。その話の輪に入って行ったのは意外にも息子だった。全巻持っているのでディープな話を始めた。漫画には興味がないのでまったくついていけない。
話題はスロットの話に。
今度は自分が話の輪に入った。
ひとしきり話しに花が咲いたところで、客が職業を明かしてくれた。私鉄の車掌さんだった。
ここで、いつも疑問に思っていた質問をぶつけてみた。
「乗車中に下痢したことはありますか?」
「そりゃ、人間ですからありますよ」
「そういう時はどうするんですか?」
不幸中の幸いとでもいうべきか、彼はその時、回送車に乗務していたが、駅に到着すると折り返し運転になる。
駅までどうしても我慢できず、車内の中吊り広告を引きちぎると、連結部分に駆け込み、用を足した、という。ズボンに漏らすことはなかったが、今度はティッシュがない。
しかたなく、パンツで拭いた。
幸いビニール袋だけはあったので、それに汚物を詰め込み何事もなかったかのように、始末した。
「また、そんなことが起こった不安ではないですか? ストッパーとかの下痢止めは常備しているんですか?」
「そんな神経の細かいことでは、適正がないので運転手や車掌にはなれません」
そりゃ、そうだ。過敏性大腸炎の人は、はなから選択肢外の職業だ。
ただ、労働者側から駅に乗務員専用のトイレを設置する要求を出したことはあるが、莫大な経費がかかるので却下されたそうだ。
トイレがすぐ近くにあり、いつでも利用できる環境があれば、過敏性大腸炎にもならない。
運転席のシートが緊急時にはトイレに変身すれば、安心して乗務できるのに、というような話で盛り上がっていたら、新聞配達のバイクの音が聞こえてきた。
時計を見ると4時だった。
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