目撃者証言のいい加減さが如実に出た事件だった。
「台を叩いて店とトラブルになった男がいた。その男が舞い戻ってきて、店にガソリンをまいて、火をつけた。30代でロン毛」
そんな証言からパチンコに負けた客が腹いせに放火した、と誰もが考えたことだろう。
ところが、自ら岩国署に出頭した高見素直(41)容疑者は、そんな目撃者証言とは大きく掛け離れていた。
どう見ても40~50代のオヤジ。放火の理由もパチンコで負けた腹いせではなかった。金も職もなく、誰でもいいから殺したかった、と。
秋葉原の通り魔殺人のように、無差別殺人だった。ただ、違うのは放火、という手法。これは初めてのケースではなかろうか。
高見容疑者は狭く沢山の客が店内に放火すれば多数の死傷者が出る、と考えたようだ。
パチンコ店にスプリンクラーが付いていなかった、と一部のマスコミは騒いでいたが、ガソリンで放火されたらスプリンクラーで消せるわけがない。
パチンコ店の監視カメラ以外に、ガソリンタンクを買ったホームセンターのカメラにも高見容疑者の姿は捉えられていた。
最初からあまり逃走する気持ちはなかったのか、名前の通りに“素直”に出頭している。
つまり、重大な事件を引き起こして死刑になりたかったのではないだろうか。
ガソリンタンクやガソリンの調達、放火現場となったパチンコ店がすべて土地勘のある場所での行動。
「クロス・ニコニコ」が選ばれたのは、放火した後も逃げやすく、比較的客が一杯いる店だったからではないだろうか。
高見容疑者が出来島駅周辺に住んでいたら、その界隈のパチンコ店がターゲットになっていた、ということ。
胸をなでおろしている関係者もいることだろう。
こんな男の我が儘につきあわされた犠牲者は、たまったものではない。
犠牲になった派遣スタッフは、知り合いの社長の派遣会社のスタッフだった。
合掌
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