なんとも巨大で立派な建物だ。
全長200メートル。
そう、空港の建物を彷彿とさせる長さは圧巻。外観だけでなく館内の雰囲気も空港そのものだ。
渡辺行革担当大臣の訪問から遅れること1カ月半。廃止が決定的となっている「私のしごと館」へ行ってきた。日曜日の午前10時半。観光バス3台から中学生の団体が吐き出されているところだった。
団体客は体験コーナーの方に消えていった。一般客の姿は日曜日だというのにほとんどいない。
それもそのはず。ここは家族や個人が楽しむための設備ではないようだ。
ちょうどこんな場面に出くわした。
幼稚園児ぐらいの女の子を連れた若いおかあさんの2組ほどのグループが「世界でひとつだけの手作りリカちゃんを作ろう!」の体験を申し込もうとした。
でも、係員からやんわりと断られていた。
理由は対象者が小学校5年生以上。工場と同じ機械で圧着させるなど、幼い子には危険も伴う。子供のままごとではないということのよう。
小さな子には別の30分コースのプログラムを設けているようだが、この日はやっていないようだった。
しごと館の一番の目的は学校教育段階での職業観の醸成にある。つまり、中・高生を対象に団体で来てもらって、自分の仕事の適性を見つけたり、仕事の世界を体験することで「職業観の種」をまくことにある。
伝統工芸、美容師、介護士、消防士、テレビスタジオ、新聞記者、腕時計の組み立てなど興味深い仕事が300~1000円で体験できる。
「私のしごと館」がオープンしたのは2003年3月。総工費は580億円。厚生労働省の外郭団体である独立行政法人「雇用・能力開発機構」が管轄している。
平日は学校の団体客、土日は個人客で平均すると1日600~700人ほどしか来館者はいない。
それもそのはず。これが大阪市内にあればこの10倍は来るだろうが、関西学研都市=京都・精華町ではアクセスが悪すぎる。
運営費用は入場料と雇用保険で賄われているが、毎年20億円近い赤字を出し続けており、開館からわずか5年ほどで廃止が決定されたことになる。
廃止後は民間に売却するのだろうが、しごと館のままで買い手なんかないだろうに。
100歩譲って、しごと館は必要としても、580億円をかけて作る必要性はどこにもない。年金問題で国民を窮地に陥れた厚労省の税金の無駄遣いの象徴だ。
ちなみに隣接地には、これまた立派な国立国会図書館関西館がある。関西に国立国会図書館があることをどれだけの人が知っているだろうか。
これももったいない。
関西学研都市の目玉施設なのかも知れないが、学研都市周辺の人しか利用できない不便な場所に国立国会図書館があるというのも宝の持ち腐れだ。
人気ブログランキン