横綱朝青龍問題も結着していないというのに、今度は時津風部屋の暴行・傷害致死容疑まで出てきてしまったわけだから、相撲協会にとってはまさに弱り目に祟り目。改めて北の湖理事長の指導力が問われるところだが、出したコメントが「警察に任せたほうがいい」。結果的にはそりゃ、そうなのだが、協会としてしごきを禁止したら、相撲社会が成り立たなくなる、とでもいうのだろうか。
相撲部屋の親方のイメージといえば、大体竹刀を持って弟子の稽古を見ている感じがする。ちょっとでも手を抜いたりすると容赦なく竹刀が飛んでくる。
最近の子供は学校で先生から体罰を受けることがない。そんな温室育ちの子供が中学校を卒業していきなり相撲社会だ。親からも先生からも叩かれたことのない新弟子の中には、あまりにも厳しい稽古に逃げ出すケースはこれまでにも多々あった。
ところが、今回のケースは若干違った。
実家に逃げ帰った力士を再び連れ戻したのはいいが、連れ戻したときの弟子の態度に激高した親方がわずビール瓶で頭を殴ったことだろう。
これが合図となったかのように兄弟子たちから気合を入れ直すために、殴る蹴るの暴行を受けてしまった。それが急性心不全の原因となった。
さらに悪質、というか親方もやりすぎを自覚してやばい、と思ったのだろう。遺体を時津風部屋のほうで火葬しようとしたことである。通常ありえない行動だ。証拠隠滅と疑われても仕方ない。
親族のほうから止められて遺体を病院から新潟の自宅の方に転送したようだ。普段の稽古で擦り傷や打ち身は日常茶飯事。それで言い逃れできると踏んだのだろう。
北の湖理事長は、現役時代は強すぎて嫌われていたが、今は指導力不足で相撲協会のイメージをどんどん悪くさせている。たぶん、口下手で弁舌が爽やかではないのだろうが、横綱朝青龍問題を含め理事長としてみんなを納得させるコメントの一つや二つは欲しいものだ。
追記
兄弟子も観念したのか、金属バットで殴打したことを認めた。傷害致死傷が立件されれば、親方や兄弟子たちの廃業は必至。土俵の上のしごきではなく、もはや集団リンチ殺人である。
この一件で角界の体質がすぐに改まるとも思えないが、脱走しても強くなって上位に君臨している力士がいればなかなか改まらないだろう。
それよりも、これで新弟子がますます入門しなくなることのほうが相撲協会にとっては致命的だ。
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