バラエティー番組で出川哲郎がアメリカ人に土下座していた。アメリカ人を怒らせ、日本の文化である土下座がどの程度通用するかの実験だ。
家のガラスを野球ボールで割られた主人が外に出てきて、犯人を探しているところに出川が出て行って謝るというシチュエーション。いつものへっぴり腰で「ソーリー、ソーリー」と恐る恐る家人に近づく。
主人は「金を払え」「クレジットカードは持っていないのか」と怒り心頭。
出川は「ノーマネー、ノーマネー」「ソーリー、ソーリー」を繰り返すばかり。そこで突如出川が土下座に出た。
いきなり地面にひれ伏す姿を見て、主人はびっくりして後ずさりした。
平身低頭さがアメリカ人にも通じたのか、「もう、分かったから立てよ」と出川の腕を取った。許してもらえた。
初めて見る土下座に「病気で倒れたのかと思った」とびっくりしたようだ。
本題はここから。
高知の飲食店で起こった暴力酔客に警察が加担して従業員に土下座させた事件だ。土下座論争に発展しそうな予感がする。
事件のあらましはこうだ。
18日の深夜1時、飲食店で男女3人組の客が「注文したものがこない」と皿を投げつけるなどして暴れたために、店は110番通報した。
駆けつけた警察官が任意同行を求めると客の妊婦が逆上して、女性従業員を警察の前で平手打ちした。
客を外に出したが、事態は収拾できず、2時間あまりも揉めた。そこで客が要求していた土下座を警察が促して店長ら3人の従業員が客に土下座して謝ってことが収まった、という次第だ。
警察は客が従業員に暴力を振るったのを目の前で見ていながら、暴力酔客のいいなりに店側を土下座させたことが問題になっている。
注文したものがなかなか来ない。こんなケースは往々にしてある。客の立場になれば一番頭にくる。でも、大半の人は酒を飲んでも理性を失わないので、静かに怒りを伝える。
いくら酒が入っていても、皿を投げつけて暴れるのはよくない。
それに対して警察を呼ばれたものだから、客も怒りが頂点に達したことは容易に推察できる。
客の言い分はおそらくこんな内容か。
「注文したものをもってこないお前らが悪いんだろうが!わしらが悪いんか!警察を呼ぶとは何事だ!客を客とも思っていないのか!こらぁ!客をなめとんのか!謝れ!土下座して謝らんかい!土下座するまで絶対許さんからな」
いくら客とはいえ、従業員を殴った時点でアウトだろう。
警察官は4人も来たというのに2時間余りも事態を収拾できない、ということは問題解決能力がないばかりか、暴力酔客側に立って早く終わらせようとしたやり方は非難されてもしかたない。
ただ、中には客を客とも思わない接客態度のひどい店もたまにある。
「そんな注文聞いていない」「お前らの勘違いだろうが」なんて店が応酬していたら、そりゃ殴りたくもなるが、そんな会話があったとは想像できない。
出川がこの店の従業員ならすぐに土下座してコトは収拾できただろうに。
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