迷走していた防衛省の事務次官人事は官邸主導で決着した。
小池大臣が推す警察庁出身の西川氏でもなければ、守屋事務次官が推薦する防衛省はえぬきの山崎氏でもなかった。
官邸は2人の面子を保つ妥協案として、防衛省出身の増田好平人事教育局長を選任。これを小池大臣も了承し、守屋事務次官に伝えた。
省の人事問題がこれだけ、公にさらされたのは異例中の異例。しかも一国の防衛を預かる省のゴタゴタだけに、安倍内閣の指導力のなさを改めてさらけだした。
何よりも問題なのはシビリアンコントロールの原則が破れかけたことだろう。
文民統制ともいわれるシビリアン-コントロールとは、軍隊の暴走を抑制するために政治家(文民)が軍隊(自衛隊)を指揮統制する原則で、民主主義国家の軍隊にとってきわめて重要なこと。
つまり、防衛大臣の命令には事務次官(法的には自衛隊員)も従わなければならないのに、守屋氏は歯向かったことになる。
守屋氏にすれば就任1カ月のババアに自衛隊の何が分かる!という強い抵抗があったのだろうが、シビリアンコントロールの原則を侵してしまった。これが男の大臣だったら素直に従っていたかもしれないが。
小池人気取り女性大臣では自衛隊を指揮統制できない、ということを現場から突きつけられた。
ここでも安倍総理の人選ミスだ。
小池大臣にすれば次期内閣でも留任は決定済みと思っていたはず。そこで沖縄の基地問題で名を挙げたいために、沖縄県民が嫌う守屋事務次官を更迭したのだろうが、今回のゴタゴタで続投の目は限りなく消えかけてきた。
小泉内閣時代も田中真紀子外務大臣が、事務次官の更迭問題を引き起こし、最終的には田中大臣も更迭された。
改造内閣では仲良し内閣から挙党体制が求められている。
今回の一件で人気も急落した小池大臣だけに、安倍内閣の人気取り要因もなくなった。むしろ、続投させるとテロ特措法の延長が次期国会の争点となるだけに、安倍内閣が再び火達磨になる恐れがある。
自民党に人材がいないのであれば民間から登用という意見もあるが、軍事オタクの石破氏や安倍批判の急先鋒でもある枡添氏をあえて登用する手もある。
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