現在の役職は社長。もちろんサラリーマン社長。
頭角を現してきたのは入社間もないころからだった。期待の即戦力ぶりをいかんなく発揮した。目標の割数に誤差がないということで2回1位に輝いた。
そのためには裏の手を使っていた。
ホールコンを操作して割数を合わせた。アウト、セーフだけでなく、ポスでは両替率までを変える。放った矢の的を当たったところに的を置き換えるようなものだ。
それで、できる店長として一目置かれるようになったが、バクチが大好きでポーカー屋に年がら年中通っていて、暴力団とも通じていた。
裏ポーカーにぶち込むおカネはどうやって工面していたのだろう? 割数もそうやって簡単に合わせられる店長なら、どうにでもなる、ということが推察できる。
オーナー社長は会社経営には向いていないから、その人物を社長に引き上げた。
裏の裏を知っているから、不正管理の立場に立つと滅茶苦茶能力を発揮する。
社員の不正はすぐに見抜くことができる。
不正には鬼に金棒だ。