50年以上の歴史を持ち、8月8日に開催される茨木市の夏の風物詩となっている弁天さんの花火大会が急きょ中止になった。主催者である弁天宗も断腸の思いの中止だ。
中止の理由はこうだ。
8月8日、午後7時15分から打ち上げを予定していました、辯天宗夏祭奉納花火大会の「花火打上げ」を都合により急きょ「中止」することに致しました。 中止の理由は、火災や爆発などの事故があった場合に備え、辯天宗の連絡体制や避難誘導体制を一層強化しなければならないと判断したためです。
花火の打上げは、出店のプロパンガスやカセットコンロの安全対策、火薬の管理や雑踏警備などの危険と隣り合わせの人命にかかわる催しであるため、実施するためには予防対策や緊急対策などを確立した万全の体制で臨む必要があると考えております。
辯天宗といたしましては、半世紀以上にわたる行事を中止せざるを得ないことは、まさに断腸の思いでございますが、責任の重さと、万に一つの重大な事故が発生した場合の影響の大きさを勘案して、やむなく「中止」と判断した次第でございます。
突然の中止のお知らせに、花火を心待ちにしておられた皆さまには大変申し訳ございませんが、なにとぞご理解くださいますようよろしくお願い申し上げます。
花火打上げは中止致しますが、それ以外の夏祭りの行事は、予定どおり開催させていただきますので、皆さまのお越しをお待ちしております。
なお、来年以降の開催の可否は未定ですが、関係先のご指導をいただき再開への方途を見つけ出したいと考えております。
これ、調べてみると昨年、多数の犠牲者を出した福知山の花火大会に主因があることが分かった。
あの事件では、露天商が発電機にガソリンを給油中に引き起こした、ガソリンの爆発火災だった。
責任は露天商にあるわけだが、個人では損賠賠償に応じることもできなかったことから、消防庁が全国の自治体に対して、対策の条例改正を指導していた。
これに呼応して茨木市は改正火災予防条例を7月1日に可決、即日施行となった。それによって多数の人が集まる場所では、消火器の設置や避難経路の確保が、主催者責任で義務付けられた。
規制対象は100店舗以上の露店が出店する催しが対象で、弁天さんの花火大会は150店ほどの露店が出るので規制対象となった。燃料はプロパンガスならOKだが、ガソリンエンジンを使うことができなくなった。
条例施行から1カ月あまりの準備期間では、あまりにも時間がなくて今回は断念した。
ちなみに、大阪市の施行日は8月1日(猶予期間2週間)。
7月25日の天神祭りをはじめ、8月9日の淀川花火大会は条例を免れて開催する方向を選択した。
茨木市の議員は無粋だ。
せめて、弁天さんが開催できるように条例の施行日を考えるべきだった。
条例は全国の自治体でまちまちだが、こうした夏の風物詩がことしは中止の憂き目にあいそうだ。