今から20年ほど前の話だ。
パチンコ店の駐車場の金網にストリップ劇場が無断で立てかけた。パチンコ客とストリップ好きは親和性があるとでも思ったのだろうか?
着任したばかりの店長は、すぐに劇場にクレームの電話を入れた。
「無断で看板を出されては困ります。すぐに撤去してください」
すぐに劇場から責任者が謝りに来た。
手には菓子折りを持っているが、その手が小刻みに震えている。
事情を聞いた。
すると看板を出したのはこのホールだけではなかった。
他のホールの駐車場にも無断でつけていたが、これまでクレームがなかったのでやっていたとのことだ。
「誠意を見せろ」と凄まれると思っていたが、まっとうな対応に先方の表情が少し緩んだ。
「クレームが入ったので、てっきりパチンコ屋さんはヤクザだと思っていましたが、違ったんですね」と安堵の表情に変わった。
相手は菓子折りとは別に、ストリップ劇場の入場券を20~30枚持参していたが、それは付き返した。
後で社長にことの次第を報告すると、
「なぜ、チケットを受け取らなかった!」
確かに、極一部だがヤクザがやっていたケースはあった。
その息子はおやじがヤクザだったことを非常に嫌がった。
パチンコ経営を引き継ぐと共に、ずっとまっとうな仕事をしていたが、顔は一番ヤクザに近い。