夕方6時過ぎケータイが鳴った。
普段電話してこない珍しい人からだった。
「お礼がしたいといっている人がいるので電話を代わります」
もう一つのブログで書いた記事のお礼がした、ということ。場のざわついた雰囲気からすでに酒が入っている様子。
電話口に出たのはまだ一度もお会いしていない会長だった。会長といっても年配者ではなく、2年ほど前に社長を退いて会長職に納まっている。
「本当にありがとう。あの記事を読んで創業当時のことを思い出して、涙が出てきた。あの記事は社員にも全員読ませた。初心を思い出すことができた。普段インタビューを受けることはないので、感謝しています。どうしてもお礼がいいたかった」
思いがけない電話だ。
その記事は会長を直接取材して書いたものではなかった。側近の人から聞いたことをまとめたものだった。いつか本人に直接会って、記事を書きたいと思うぐらい魅力的な人物である。
にもかかわらず、詰めの甘さが出た。
その場でケータイ番号を聞いて、訪問のアポでも取るべきだった。
人物伝を本にしたら絶対面白い。
電話をかけてきたK社長が6時過ぎにも関わらず、出来上がっていたので調子が狂った。
今から十三へ出て来いといわれるのかと思った。
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