今は仕事もなくなった、カネもない、といいながら腕には金無垢のローレックス。乗っている車はベンツ。
一番いい時代を体験してきたメーカーの元営業マンだった。
全盛期の話しを聞くと羨ましい限り。同時代に同じ業界にいながらそんな余得に預かることはなかった。
メーカーの営業マンが重宝されるのはすなわち、店の売上げに直結するからだろう。
200台ぐらいの店を畳もうとしていたホールの女性オーナーにアドバイスしたことで、店は息を吹き返す。
その店は当時まだ台間玉貸し機を設置していなかった。
玉はカウンターで手動で100円切りだった。
そこで、一発機を入れると共に、そのコーナーだけに台間玉貸し機を入れさせた。
アドバイスとは「客は立たせたらだめ」
それで、一発機のコーナーから見る見る売上げが上がり、店は蘇った。
義理堅い女性オーナーだった。
店が儲かったのはその営業マンのお陰とばかりに、営業で店に顔を出すたびに、オーナーは10万円の小遣いを渡した。
店の売上げから抜くので、1000円札で100枚。
行くたびに小遣いをくれるので、行きにくくなった。
最終的には店を畳むことになったのだが、そのオーナーは子供いないこともあり気風がよかった。
最後にその営業マンに「ありがとう」と手渡したのが500万円のキャッシュだった。
断ることなく、ありがたく頂いた、という。
業界全盛期の2世経営者の遊びがこれまた半端ではなかった。
ラストまで残った女の子に1人10万円のチップを渡していた、という。残っている女の子は10人以上。チップだけで100万以上が消えた。
金にあかしてそれはそれは筆舌に尽くしがたい滅茶苦茶ぶりだった。
見送りに行った女の子をエレベーターの中で裸にして外に放り出すとか、店の中で女の子とプロレスまがいのことをしたり、消火器をまいて暴れたり。
傍観無人ぶりに「ヤクザが同席していたら絶対危ない」と忠告を受けるほどだった。
急に大金を持つようになったものだから、紳士的な遊び方も知らなかった。
そんなオーナーたちとも一緒になって遊んでいた。
そんな遊びをしていた人たちの店は今どうなっているか?
いわずものがな。
昔はよかった、といけどそんな恩恵にあずかることはなかった。いい思いをしていないから逆に今があるのかも知れない。
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