船長を釈放すれば問題は解決の方向に向かうものと思われたが、中国の交渉術は日本よりも100倍も上手だ。
日本が主張する領土での違法行為で船長を拘束しながら、処分保留で保釈した、ということは日本は尖閣諸島が中国の領土であることを認めた、というように都合の良いように解釈する。
中国領土で日本の巡視船が中国漁船を不当に逮捕したから、謝罪と損害賠償を求める、とつけ上がる。
国際法上も尖閣諸島は日本の領土であることが認めているにもかかわらず、それを中国の領土である、と主張する精神構造は、中国が有史以来、選挙によって物事を決めたことがないからだろう。
今回、中国漁船を捕獲するまで13時間かかっている。
それは、民間のトロール漁船か軍が関与している漁船かを確認するのに時間がかかった、ともいわれている。
実際、2度も巡視船に体当たりを食らわしたり、石垣港へ連行されると船員がその模様をビデオ撮影していた、という。普通の漁民がそんなことをすることも考えにくい。
軍が関与した偽装漁船で、しかも徹底抗戦して逮捕されることを想定した、中国側が巧妙に描いたシナリオだった、としたら…
この時点から日本は中国の罠にはまったことになる。
日本は日本の法律に則って粛々と対応していく姿勢を示したが、まさに中国の思う壺。不法逮捕を主張すると共に、釈放要求をどんどんエスカレートさせてきた。
そして、レアアースの輸出禁止、フジタの社員4人の拘束、と態度を硬化する中国の交渉術に屈した、というのが今回の流れだが、そんなことで簡単に保釈してしまったのだろうか?
偽装漁船の船長が逮捕されることがシナリオで、船長保釈もそのシナリオに沿ったものだった、としたらこんな推測ができる。
民主党が野党時代の苦い記憶がよみがえって来る。
そう、ライブドア事件でガセメールを掴まされた永田寿康議員が衆院予算委員会で得々とした面持ちで追及したあの事件だ。
結局、これはガセメールだったことが判明して、当時民主党の代表だった前原氏は引責辞任した。このガセメールを精査することもなく、仲介した議員を信用したために、こんなことになったらしい。
で、今回も中国側から「船長を釈放すれば事件は収まる」とガセ情報を掴まされて、釈放してしまったのではなかろうか。
それにまんまと嵌ってしまった。
保釈すれば、ことは丸く収まると思ったが、約束が違う。
中国は重ねて「中国の主権と領土を守る。当然、謝罪と損害賠償を求める権利はある」と強硬姿勢を崩さない。
船長保釈の交換条件としてフジタの社員解放も含まれていた?が、中国にすれば人質は最重要交渉カードになるので簡単に手放すわけがない。
ディズニーランドで遊ぶために偽造パスポートで入国した金正男を逮捕しないで、強制送還したのは時の自民党政権だが、これこそ拉致被害者の解放交渉の切り札をみすみす捨ててしまった過去がある。
民主党であろうが自民党であろうが弱腰外交には変わりない。
中国が尖閣に五星紅旗を立てる前に、刑務所でも作ってそこへ日本人を永住させることだ。
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