ボルトが予想通りというか、期待通りに200メートルでも世界新を樹立した。
19:19。
もはや、人類未踏の18秒台が手の届きそうなところまで見えてきた。
ボルトが“人類”ではないのは、ゴールシーンを見てもその差歴然。
ボルトは超人だ。
日本にはうどの大木という諺がある。体ばかり大きくて何の役にも立たないものを指すわけで、日本の大男のイメージはジャイアント馬場のように、動きもスローモーションである。
それがボルトは1メートル96センチの長身でスプリンターなわけだから、一歩の歩幅が違う。走り高跳びでも長身選手の方が有利で、ベルリンの世界陸上で女子の走り高跳びを制したブラシッチ選手は、1メートル93センチの大女だ。
ストライドの大きいボルトが足を高速回転すれば、写真のような差になる。
それは、そうと、ボルトの強さの秘密は、レース前にもふざけたしぐさでリラックスできているから、とこの前の100メートルで世界新を出したときに書いたが、専門家も同じ見方をしているのには驚いた。
運動科学総合研究所の高岡英夫氏がその人で、ふざけた顔やおもしろい顔をして体をくねらせている。この体のくねりが驚異的なスピードの源、と科学的に分析していた。
ふざけた真似でリラックスしているだけでなく、くねりが大きな要因というところが専門家の目だが、着目点は同じ。
着眼点といえば、スーパースターは、勝負の前に一つの所作を持っている。
イチローのバッターボックスに入った時の一連の動作は、一球入魂のための武士道に通じる美しさがある。
朝青龍が立会いに入る前に、最後の気合を入れる時の回しの叩き方にも美しさと気迫がある。
ボルトもスターティングブロックに足をかけて時、十字を切り、指を天に向ける。
ベルリンの世界陸上へ400メートルで出場した金丸祐三は故障後で実力を発揮できなかったが、レース前に緊張をほぐすためにタコ踊りのような金丸ダンスを行う。
これは見ていてきれいではない。
これが一流になれない原因かも。
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