当初は非公開だった両院議員懇談会。それを急きょマスコミに公開することを決定した麻生総理。NHKですら生中継はできなかったが、これを唯一生中継したのがBS日テレ。
ところが、肝心の麻生総理のあいさつの時に、途中2回もCMを入れてしまうではないか。それもスポンサーのCMではなく、公共広告機構のCMで、わざわざあいさつの途中に入れる重要性はなにもない。
さらに議員の発言の途中でもCM明けから1分も経っていないのに、公共広告機構をぶちかまし、生中継の意味がまるでない。
決められた公共広告機構のCM回数をこの特番の中で、無理やり流した感じで、視聴者のことを何も考えていない。
そんなことをやってもクレームも来ないぐらいBSの視聴者はほとんどいない、ということであろう。
両院議員懇談会の模様、テレビニュースでは編集して流しているので、冒頭の細田幹事長のあいさつはカットされているが、線の細い細田幹事長がこう声を張り上げた。
「この4年間、郵政民営化の手続きや教育基本法、健康保険法の改正などをやってきたが、国民世論の批判が高まっている。行政改革、政治改革が足りない、医療、年金改革の不満である。麻生総理を先頭にこれからもがんばっていかなければならない!」
麻生総理のあいさつは個人の反省とお詫びから始まった。
「発言がぶれた、といわれることが政治不安と不審を与え、自民党支持率の低下につながった。深く反省している」
引き続き、地方選についても所期の目的を達しなかったことを詫びた。
ここでBS日テレは公共広告機構のCM。
CM明けは世界同時不況の話に。
「(世界不況の影響は)日本も枠外ではなかった。解散総選挙より景気対策を優先した。4度の予算編成でその成果が見えつつあるが、しかし、道半ば。中小企業や雇用問題を解決しなければならない。日本の景気回復まで全治3年。それまで総理・総裁のいすを投げ出すわけにはいかない」
ここで麻生総理は3つの約束をする。
その一つが「行き過ぎた市場原理主義との決別」だった。
ということは小泉構造改革との決別を意味するのだが、アメリカもブッシュからオバマ大統領に代わって同じようなことをいっていた。
熱弁はさらに続く。
「ここに集まっている人は保守の理念の下に集まった同士である。ここに国旗を掲げている政党はどこにもない。総裁の下一致団結して困難を乗り越えてきた。一度決めたら外と戦ってきたのが自民党の伝統。今こそとてつもない自民党の底力を発揮しようではありませんか!」と結んだ。
すかさず「そうだ!」の合いの手が入り、会場は拍手で包まれるが、反麻生の急先鋒である中川秀直元幹事長は拍手しなかった。
ここから議員の発言が許された。
トップバッターは原田議員。
「全力を挙げての景気対策は評価するが、そんな強い決意があるのならナゼ両院議員総会を開かなかったのか!自由な議論をやっていかなければならない」と口火を切った。
これに対して西川京子議員が反論する。
「十分開かれている。麻生総理はマスコミにも公開してくれた。名称はどっちでもいい。17歳の石川遼くんの一番関心ある問題は北朝鮮問題なんですよ」
最前列に陣取っていた大村ダボハゼ議員はいつもの調子で声を張り上げる。
「敵はポピュリズム政党である民主党。この場を出たら戦う相手は民主党。麻生総理お願いします」
高市早苗議員は自民党を会社にたとえた。
「麻生総理は自民党株式会社の社長としては手を抜いていた。ライバル社は粗悪品を弁舌巧みに売りつけている。(自民党は)品質はいいが、商品が古く時代遅れになっている。経営者として一押しマニフェストを打ち出していただきたい」
稲田朋美議員は「自民とは何をガタガタやっているのか、と国民の信頼が揺らいでいる。党のマニフェストと違うものを出そうとする人もいるが、立党の精神に立ち戻り理念を貫いて欲しい」と中川秀直元幹事の動きをけん制した。
稲葉大和議員は「本当の心情を話して欲しい。その一心。全員が一丸となって8月30日を目指さなければならない。総理を先頭に相手に切り込もう!」
平井たくや議員は「保守政党の覚悟と自民党の結束」を訴えた。
全体的に麻生降ろしのトーンは一気にダウン。マスコミに公開されていることを意識してか、分裂より結束する方向で固まったようだ。
その証拠にその後開かれた代議士会では、中川秀直元幹事が麻生総理のあいさつを評価し、自ら握手を求め、自民党が結束したことを印象づけた。
両院議員懇談会を公開したことが、結果的にはいい方向に舵を切り始めた。自民党にすればもう落ちるところまで落ちたのでこれからははい上がるだけだ。
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