日本のGDPマイナス12%を筆頭に欧米各国がマイナス成長に陥るなか、中国だけが唯一プラス6.8%で成長を続けている。これまで2桁で成長していた中国にすれば満足のいく数字ではないが。
先ごろ開かれた全人代で温家宝首相は、GDP成長率8%維持を発表している。
安い労働力を武器に輸出型で成長を続けてきたが、この8%を維持するために中国が打ち出したのが内需拡大策だ。
個人消費を刺激することがその具体策で、中国内陸部の農民9億人が新たなマーケットとなる。かといって農村は貧困にあえぎ、600ccの売血で1300円の収入を得るものもいる。
農民の月収が1万円程度だから、いい臨時収入でもある。
中国政府は貧困にあえぐ農村に洗濯機、冷蔵庫、テレビ、ケータイの4つを普及させることで20兆円のマーケットの開拓を目論む。
月収1万円程度だというのに、冷蔵庫は2万5000円。普及させるために中国政府は13%の補助を出して、消費を刺激する策に出ている。
しかし、中国内陸部を取材したアメリカのアレクサンドラ・ハーニー(ノンフィクションライター)によると「輸出によって拡大した成長を内需拡大に置き換えるのは難しい。農村の年寄りは金を使いたがらない。簡単に切り替えはできない」と至って懐疑的。
世界的金融不安により、輸出型からの転換を求められる中国にあって、現実問題は、工場閉鎖により、農村から出稼ぎに行っていた若い労働者ら2000万人が、今、農村に逆流していること。
地域によっては農村に帰ってきた若者を対象に、授業料無料でマッサージ師を養成している。中国では国家資格になるので、いい収入を得られるということだが…
いずれ、出稼ぎから戻って金がなくなれば、経済格差のフラストレーションがたまってくる。不満を持つ人たちが政治不安を作る。
中国は共産主義といいながら、初期の資本主義状態だ。経済格差が広がれば、広がるほど不満のマグマが噴火する。
そうならないためには、民主化と社会保障の充実だというのだが。
いずれにしても、中国の内需拡大策が日本経済回復の救世主となることはなさそうだ。
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