客室乗務員の平均年収が309万円、と意外と安い新興航空会社のスカイマークが、4月からCAやパイロット、地上勤務の制服を廃止する、という。
かつては年収1000万円、それでいて海外にも行けることから憧れの的だったCA。それも今や昔。時給換算で1000円クラスのCAもいるご時勢。憧れだけでは勤まらないのがCAだ。
安い給料でもそれでもCAに憧れるのはやはり制服の魔力だろうが、スカイマークはその心のより所を廃止しようとしているのだから理解に苦しむ。
4月からはポロシャツやウィンドブレーカー。制服代を浮かした分をお客に還元する、というが社員のモチベーションが下がることのほうが心配だ。これを機に契約社員の中にはスカイマークを去るものも出てくるかも知れない。
スチュワーデス物語の時代なら、ドラマ的にはCAの間では相手の制服を見てさげすんだり、憧憬の目で見たりするところで、空港ターミナルをポロシャツ姿で闊歩もできない。
本音では「かっこ悪いので辞めます」
客への還元というが、その分機内サービスでアルコールでも出るというのならともかく、客だってCAの制服姿は時には目の保養になったりする。
航空業界は今や構造的な不況産業の一つに数えられている。
日本の航空業界も自由化の波で新規参入が認められたことで、航空運賃の料金体系が崩れたほか、テロや原油価格が高騰するたびに利用客は減った。
追い打ちをかけたのが世界的金融危機で、9.11のテロの時以上に客足が遠のいている、という。
航空会社ができて当たり前のことといえば、安全、快適、利便、定時運行だ。これができないとすぐに他社に流れてしまう。
航空各社は他社から客を奪うために、液晶テレビ、ゲーム、FAX、電話が使えるのは当たり前で、フルフラットシートに、とうとうシャワールームまで登場している。
ただ、設備などの形あるものはいずれ真似をされるので、最終的な差別化はCAの接遇にかかっており、航空各社が最も力を入れているのはCAの教育だ。
制服の元に忠誠心が誓えるというものだが、それがポロシャツになったらはたして誓えるのか?
かつて、JALはハワイ便の制服をアロハ的なリゾート感覚なものにしたことがあったが、これは制服があってのリゾッチャ。
給料が安い上にポロシャツでは接遇教育を受けるほうも身が入らない、というもの。それよりも今後は受験希望者は確実に減る。
お客の目にも見えるコスト削減はサービス業の場合やるべきではない。サービス低下を心配してしまう。
制服を廃止するメリットのほうが少ないように思えるのだが、それでもスカイマークに勝算はあるのか?
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